PR Standard ―広報の基礎知識―

2019年トレンドから探る「本当に選ばれる情報」とは?①

2019-08-09 / by 伊東正樹

テレビを活用したPRにおいて、「今、世の中の関心がどこを向いているのか」を意識することはとても大切です。

前回は、テレビ業界と相性の良い情報発信の方法についてご紹介しました。

続く今回は、発信した情報が注目されるかどうかを左右する「トレンド性」について解説していきます。

テレビに限らずメディアは、常に最新情報や旬なネタを探しています。そのため、PR活動においては、メディア側が「こういう情報が欲しかった」と感じる情報を先回りして予測したうえで、発信していくことが大切だと言えるのではないでしょうか。

というわけで、PR活動において必要なのは、「他社に先駆けてトレンドを察知する力」、「トレンドに乗る力」、そして「トレンドと自社の情報を結びつける力」の3つ。

それでは具体的にどんな情報が現場で重宝されているのでしょうか。2019年のトレンドの一部の振り返りと今後トレンドについて見てみましょう。

■2019年PRトレンドから今後を占う!

・「令和初」の○○

なんといっても、2019年の大きな話題は改元です。昨年から「平成最後」という言葉が数えきれないほど使われましたが、新しい元号が決まってからは「令和初」という言葉がトレンドワードとなりました。

例えば、ヴィジュアル系エアーバンドのゴールデンボンバーは、新しい元号が決まった直後にMVを制作・公開。あっという間にYouTubeで1,000万回以上も再生され、大きな話題を呼んだのは記憶に新しいところです。その後も、あらゆる業界で「令和初の」という言葉を冠した情報がメディアに登場しました。

現在では、新元号にまつわる言葉があふれており、これまでのように「令和初」という言葉だけでは注目を集めるのは難しいでしょう。とはいえ、まだまだ新元号になってから初めての行事は多くあります。

例えば、「ハロウィン」「クリスマス」「お正月」など季節ネタやイベントと、令和を上手に掛け合わせることで、注目を集める可能性があります。「令和元年」が終わりに近づく時期は、1年を振り返る令和特集が組まれるのではないでしょうか。

また、「初」ネタでない場合でも「令和」の文字をかたどったアイシングクッキー作りの動画がインターネット上で拡散した例もあります。今後も、「令和」の文字や世界観を、何か意外性のあるものや目新しいトレンドと掛け合わせて可視化させることで、メディアの目に留まることがあるかもしれません。

・オリンピック×日本

続いては、開催まで1年を切った2020年東京オリンピック。公式チケットの販売サイトには、多くの人がアクセスし、大きな話題となりました。これからの1年間は、開催に向けて、オリンピック自体はもちろん、スポーツ選手が愛用するグッズや、暑さ対策グッズなど、周辺情報にも注目が集まっていくことが予想されます。

また、他にもこれから関心が高まり、特集が組まれるであろうキーワードがあります。それは、開催国である「日本」。開催までの機運の高まりとともに、あらためて日本の良さを再認識するためのネタが取り上げられると考えられます。

訪日外国人によるインバウンド需要の掘り起こしや、1964年の東京オリンピックとの比較・振り返りなど、オリンピックを切り口に、日本が絡んだ企画がテレビや雑誌、ウェブメディアで増えていくでしょう。新商品などやトレンドアイテムでなくても、伝統工芸品や職人技術が光る製品・サービスには、光が当たるチャンスになるでしょう。

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。