PR Standard ―広報の基礎知識―

2019年トレンドから探る「本当に選ばれる情報」とは?②

2019-08-09 / by 伊東正樹

前回は、2019年のトレンドの一部の振り返りと今後トレンドについて紹介しました。

続く今回も発信した情報が注目されるかどうかを左右する「トレンド性」について、他の事例やポイントを見てみましょう。

・テクノロジー系

次々と新しいテクノロジーが生まれ、話題を呼んでいますが、その親しみやすさから近年注目が集まっているのがアニメーションを駆使した「V-Tuber」(バーチャル・ユーチューバ―)です。2017年のブーム発生以降、次々と新しいキャラクターがV-Tuberとしてデビュー。ライブ配信サービスのSHOWROOMでもリアルなアイドルと肩を並べる存在となっています。

代々木アニメーション学院では、2020年より「V-Tuber学科」を創設するなど、コアなファン向けから大衆向けのコンテンツとなりつつあります。

現在では企業のプロ―モーションにも利用されるなど、V-Tuber自体は有名になり認知は広がっているものの、身近さや普及・浸透という点ではまだポテンシャルがあります。「V-tuber広報」「V-tuber秘書」など、今なら「日本初」のポジションを狙えるかもしれません。

・社会問題、時事ネタ

社会問題が絡んだニュースが注目を集めているとき、その解決策を提示することでPRにつながるケースもあります。一つ例をあげると、5月に「食品ロス削減推進法案」が可決されたことで、「フードロス」への注目がにわかに高まっています。それに伴い、以前からフードロスの削減に取り組む企業や関連サービスが頻繁に取りあげられています。

このように、とくに法改正など、国が動くタイミングでは必ず報道が集中します。社会問題に関連したサービスや商品情報を改めて発信することで、企業の社会的な価値を高めるためのCSRやCSV事業をPRすることにつながります。

こうして、2019年の上半期のトレンドを並べてみると、「傾向と対策」のアウトラインが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。旬な情報であることをアピールするためには、自社と時事性の高いネタを結びつける「こじつけ力」も重要です。発信できる情報と世の耳目を集めているトレンドの共通点を探ってみるのも一つの極意と言えるのではないでしょうか。

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。