PR Standard ―広報の基礎知識―

【事例】支援総額7,000万円突破! スマート翻訳機「ZERO」の開発に向け、 クラウドファンディングに挑んだ中国・深圳発のタイムケトル社

2020-09-02 / by 伊東正樹

<目次>



タイムケトルは2016年に中国・深圳で設立されたAI翻訳機のスタートアップ。

「翻訳はただの手段。大切なのは、その先のつながり」という想いを掲げ、言語が異なる人同士でも、翻訳機が生み出す自然なコミュニケーションで、気持ちを通わせた人間関係を構築できる社会を目指しています。


“スマホに挿すだけ”の世界最小規模のスマート翻訳機「ZERO」。日本初上陸に向けて、クラウドファンディングを実施し、7,000万円の資金調達に成功しました。

タイムケトルとKMCがともに挑んだクラウドファンディングの目標達成に向けたPRについて、タイムケトル・ジャパン株式会社代表取締役の山内佑太氏に率直にお話いただきました。

―今回、PR会社を利用しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

「ZERO」のクラウドファンディング拡大が目的でしたが、一方でPRを使うことにジレンマもありました。あくまで資金調達するための手段に、さらに費用を捻出するってどうなのか?そこに悩みがありました。

ですが、タイムケトルは海外のスタートアップで、日本での認知度が低い。やはり競合の音声翻訳機と比べると、広告費用とか認知度とか桁違いなんです。

“どれだけいい商品を作っても、知られなければ何も生み出されない。”

“資金的に製品を作れても、最終的にその先にいるユーザーに情報が届かなければ、意味がない。”そこを考えてPRすることを決断しました。


また、クラウドファンディングは開始当初のPV数はよくても、あんまり見ていただけなくなって、途中から支援金額数が減ることも。『この時期をどう乗り切るか?』となったときに、PR会社にまずは聞いてみようとなりました」。


―その中でKMCを選んでいただいた理由は、何だったのでしょうか?

「色々なPR会社とお話したのですが、会社が中国の深センにあることや、コロナウィルスの真っ只中の時期で、話題化へのハードルの高さを指摘されることもありました。

そして、残り1か月で募集が終わってしまうという時間的な問題もあり、厳しいと難色を示されることが多くて。

その中でKMCを選んだ決定的な理由は、残りの期間でどういう施策・アプローチが出来て、それを具体的なスケジュールと一緒にどう動いていくかを提案してもらえたことです。親身になって対応していただき、この会社だったら信頼できるかなと思いました」。

―もともとPRにどういったイメージをお持ちでしたか?

「PR自体はやったことがありませんでしたが、弊社の意図とは違う形でメディアから情報が流れてしまうのではないか?という懸念がありました。でも、そんなことありませんでした。

というのも、今回Youtuberさんにもプロモーションを同時並行でお願いしていましたが、そのときに実際の使い方や機能について誤った形で商品が紹介され、こちらの意図と違う情報が流れてしまったんです。

一方でPRは、KMCの担当者が間に入り、こちらの意図と事実をきちんと確認した上で、適切にメディアに情報提供してくれたので安心しましたし、信頼できると感じました。

良し悪しとか、どれがベストとかではないと思うんです。それぞれの良さがあるので、うまく組み合わせて情報を届けることが大切だと思いました」。


―実際にPRをやってみての結果、感想はいかがでしたか?

「より多くの人に『ZERO』を知ってもらい認知度をあげるために、WEBのPRを行いましたが、期待通り広がってよかったです。あと1か月でクラウドファンディング終了というタイミングで、4,000万円台の状況から、最終的には7,000万に到達させることができました。

当時、クラウドファンディングサイト『Makuake』の翻訳機カテゴリの最高額が約5,300万円だったので、次のゴールとして5,500万円に設定して、史上第一位を目指そうという話が出たんです。初めてとなる日本での商品レビュー記事や、僕のインタビューをメディアに掲載していただいたり、スケジュールが厳しい中できることをやって。
結果として7,000万円を超え、史上第一位を達成しました。


しかも、WEB記事がずっと残り続けることで、クラウドファンディングが終了した後も見ていただけたり、問い合わせが入ったりしました。

『あとから知りました』という方や『どこで買えますか』などの質問がプロジェクト終了後も結構あったんです。

今、やっと人々も出張、旅行などで外出するようになって、世界の航空の便も少しずつ戻りつつあります。そんな中で翻訳機というワードを調べたときに、過去のWEBメディアの記事を見ていただいたりできる、という効果はあると思います。


実は色々なPR会社とお話していた当初、PRって高いんだろうな、効果あるのかなと思っていましたが、KMCと一緒に仕事をしていく中でそういった印象とかイメージがよいものに変わっていきました。


特に印象深かったのは、SNSのタイムラインにZEROの記事が自然と流れて来たり、僕が直接発した言葉ではないものに対して、周囲から反応があったことです。友人から『これ佑太の会社じゃない?』とか、『この記事見たよ』って連絡が来たときは『あぁ、よかった』と思いましたね。


企業として製品やサービスを提供しても、実際に生のユーザーからの声が届かないことは多い。それを実感できたからこそ、このインタビューにも協力できればと思いました。(笑)自分からTwitterなどに投稿する事はありますが、他の人の投稿として流れたのが、「広がっているんだなぁ」と実感することができ、感慨深かったです」。



―これからもPRをやってみたい、というお気持ちはありますか?

「やっぱり他のSNS広告や、YouTuberなどとは違ったアプローチの方法が、PR会社ではできると思っています。『ZERO』の一般販売が8月から始まりましたし、実は近日中に、また新たな商品のクラウドファンディングを行うことが決まったので、今回は時間に余裕を持たせた上でどういう風にお客様に訴求していけるかを模索しながら、これからもお客様に良い商品を届けていきたいと思います。

新たな商品ついて詳しくはこちらをご覧ください」。

(文/早川、編集/伊東)

Tags: PR-CASE

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。