PR Standard ―広報の基礎知識―

記者の集客率を高めるPRイベントとは?  理想的な露出を狙う発表会のポイントを解説

2020-06-19 / by 伊東正樹

 近年、マーケティング手法の1つとしても注目されている、PRイベント。多岐にわたるイベントの中でも、プレス発表会は世の中に自社の情報を広く知ってもらうために効果的な手段のひとつです。しかし、メディア露出を通して認知度を高めるには、ただイベントを実施して記者に案内すれば良い、というわけではありません。そこで今回は、メディアの集客率を高め、質の良い報道に繋がるプレス発表会実施に向けて、おさえたい3つのポイントを解説します。

ポイント1:記者の担当を意識したコンテンツ

 まず参加する側のメディアについて理解しておく必要があります。ニュースとして報道してもらうためには、”新情報”があることが基本で、非常に重要なポイントです。しかし、速報系のニュースだけが報道される訳ではありません。
 例えば、新聞社には企業報道部や経済部、社会部といった日々のニュースを追いかける部署以外にも、生活部や文化部など特定のテーマを取材する、特集企画の記事を書く部署があります。主に夕刊や週末の紙面にあるような企画やコラム記事ですね。
同じようにテレビ局には報道部以外にも特集班がいたり、雑誌やWEBメディアでも特定のトピックや業界全体の動向などを書く人たちがいます。

 こうした記者やライターをいかに集められるかが、記者発表会の集客のポイントになります。 例えば、商品・サービスの説明だけで終わらせてしまうのではなく、専門家を招いたセミナーやトークセッションなどを発表会のコンテンツに入れることで、一般家庭向けに分かりやすい解説記事を書いている記者に役立つ情報を提供することができ、出席率が高められます。

 企画系の記者は、担当企業が決まっておらず、企業との接点が日常的には多くないため、このような企業と商品、専門家を一度に取材できる機会はアピールポイントになります。 勿論、速報ニュースの担当ではないので、イベント参加後やリリース送付後にすぐに記事にしてもらえるわけではないですが、特集・企画記事のネタのひとつとして扱ってもらえる可能性があります。

ポイント2:報道価値を高める”場づくり”

 せっかく考えた発表内容も、プレスリリースと同じ内容であれば忙しいメディア側からすると「わざわざ時間を割いて行く必要があるのか?」と思われてしまいます。そのため、”記者発表会の場でしか得られないもの”を準備し、取材の動機付けをする必要があります。例えば、商品の初お披露目や、実際に手に取り撮影できるタッチ&トライコーナーを設けたり、詳しい解説も含めた体験会・試食会の時間を設けるなど。実際に体験する事でより印象に残り深い理解に繋がるだけでなく、そのブランドのファンになってもらえる事もあります。

 また、どういった内容であれば商品やサービスの良さが伝わるのか、イベントのゴール=報道露出を考えることも重要です。上記の体験コンテンツを通した、記者の感想やレビューは勿論、社長や開発担当者、専門家のコメントが一緒に紹介されると、想いや説得力が増してより理想的な露出になりますよね。そのためには、各登壇者の個別インタビューの時間を設けておくことも有効です。

 イベントには様々な形式がありますが、参加者だけが得られるコンテンツを準備することが大切です。そうすることで、単なるリリースの書き起こし記事ではなく、より詳しい内容の記事を期待する事ができます。

ポイント3:取材可否に影響する案内状と実施タイミング

 このように企画を練った発表会も、その内容や必要性がうまく伝わらないと、メディアは取材に来てくれません。そのため、プレスリリースと同様、記者の目を引く「トレンド性のあるタイトル」や、「5W2Hを使った分かり易さ・簡潔さ」を意識して、当日の内容を伝える案内状の作成がポイントになります。
 特に登壇者やゲストがいる場合は、「取材対象者」として事前に情報をまとめておくと、イベントで撮れる内容や聞けるコメントが記者側でイメージでき、効果的なメディア誘致に繋がります。

 また、イベント開催タイミングも重要です。特に、常に情報にアンテナを張っているテレビ局の記者などは取材において速報性や時事性、撮影対象があるかを慎重に判断するため、他のメディアに比べて誘致のハードルは高いでしょう。そのため取材に足を運ぶ記者に「なぜこのタイミングで取材をするべきか」を分かり易く伝わる事が重要です。発表内容にあわせた記念日(例:睡眠の日、防災の日)はイメージがしやすいかも知れません。それ以外にも、内容法律改正や行政の発表の他、時事問題や季節に絡めた背景説明をすることで、今取材すべき理由を伝えることができます。

以上、PRイベントにおいてのメディア集客と理想的な露出に繋げるポイントでした。

イベントを実施した先にある露出を見据えた設計

  プレス発表会では、予算や会場、演出部分をしっかりと構築する事も大切ですが、実施の目的が何かをしっかりと認識した上で、理想的な露出見据えたコンテンツ設計が重要です。

 記者の担当を意識したコンテンツや、製品やサービスの理解に繋がる体験の場の提供、取材の必要性が伝わる案内状の作成など、細かい点にも気を配りイベントのメディア集客率を向上させましょう!

Tags: PRの基本

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。