PR Standard ―広報の基礎知識―

PR会社とは、なにか? ~社会の中で担う、広報PRの役割~

2020-08-03 / by 伊東正樹

「ニュースには社会を変える力があり、それがPRなら実現できる」

KMCグループの代表・富樫は、そう確信してPRサービスを提供しています。

今回は当社の代表が考えるPR会社、そして広報PRの役割についてご紹介します。

“PRとは?”

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色々な捉え方があると思いますが、

一言で言うと“社会とのコミュニケーションを支援する“会社です。


どのような企業にも、達成したい目標や目的があります。

そのゴールに向けて世の中に発信したいこと、伝えたいことをメディアを通じて伝える。

しかし、「全く関心をもってもらえない…」と感じている会社も多く、

意図通りに伝わらない場合もあります。ときには、曲解されることさえあります。

だからこそゴール達成に向けて、社会との双方向、つまり、一方通行ではない2Way型のコミュニケーションで支援することが重要だと考えています。


企業には、組織規模に関わらず、社会とのコミュニケーションの窓口が必要です。

例えば、政府であれば官房長官が毎日2回、記者会見をして広報の役割を担っています。

一方的な情報発信だけではなく、記者からの疑問や批判的なコメントを受けながら、

質問に対する回答や考え、ネクストアクションを示していく。そして理解を得ていく。

あのプロセスはまさに、“社会とのコミュニケーション”です。


広報の役割とは、その社会とのコミュニケーションで、PR会社はそれを支援する役割を担っています。

つまり、伝書鳩のように組織のトップからの伝言を預かって喋るとか、物語やストーリーをただ報道機関向けの資料として、プレスリリースに載せて一方的に発信することがPRなのではありません。

達成したい目的、会社が実現したいビジョンに向かって、そこをゴールにコミュニケーションしていくのが本来の広報PRの機能だと考えています。

“広報が、社会を変える”

 しかし、日本国内には広報機能がない会社も数多くあります。企業に広報機能がないということは、極論、社会とコミュニケーションする機会を自ら閉じているということです。

 もし政府に、コミュニケーションの窓口を担う官房長官が存在せず、定期的な記者会見をしてなかったらどうでしょう?より一方的な情報発信になり、政府も社会も、お互いの考えを理解する機会が減ってしまいます。


 それではお互いにとって望まない社会になりますよね。政府であろうと企業であろうと、組織規模に関係なく同じことなんです。

 にもかかわらず、企業では広報部を置いてない会社のほうが圧倒的に多い。上場して初めて、IR等も兼ねてコミュニケーション部門を置くわけで、上場まで広報担当がいないのが普通、というのが日本の現状です。


 つまり、日本国内では、「広報」という機能の価値がまだまだ認識されていないのです。経理、総務、人事、営業、マーケティングは、機能として確立していて、各機能を支援する会社やサービスが数多くありますよね。専門職としても、経理だったら税理士、労務だったら社労士、営業であれば専門職として経験を積んでいる人が、企業にも多く在籍しています。


 一方で、広報はどうでしょうか?同じような専門職であるにも関わらず、営業職等と比べて圧倒的に専門職としての成功体験を持っている人が少ない職種なんです。

 本来は、ベンチャーも含めて広報部を置き適切に社会とコミュニケーションをしていくべきです。いいサービスやモノがあれば、企業規模を問わず、社会に広がっていく。そのような状態が理想的だと思います。

しかし、今の世の中では、価値のある素晴らしいプロダクトが企業内で生まれても、それが広がるかどうかは、コミュニケーション機能があるかどうかによって、全く変わってしまう。

 これは非常にもったいないことです。“企業の広報機能が弱い・浸透していない”という国内の現状は、『社会の発展を阻害している』ことと同等だと感じています。


 すべての会社にマーケティング、営業、経理機能があるように、すべての会社が広報を持つ。社会とのコミュニケーション機能を持つ。それが理想的な状態だと考えています。広報機能によって本当に価値のあるモノやサービスが、世の中にもっと普及していく。それは、社会がより良い方向に向かい、社会が変わるという事ではないでしょうか?

“PR業界の課題”
~本当に広報が必要とされている場所とは~

 例えば、星野リゾートがどうしてこんなにも多くの人に認知され、企業としても伸びたのか。広報なくしては語れない事例だと思います。ほとんど宣伝もせず、広告もあまり出していない星野リゾートを、なぜ誰もが知っているのでしょうか。それはメディアのニュースを通じて、多くの人が知ったからです。広報機能をうまく活用した結果であり、まさに広報のパワーです。

 星野リゾートのような取り組みをしている会社は、旅行業界以外にも数多くあると思います。しかし、どんなに素晴らしいものであっても、広報がうまく機能していない事で、サービスや価値を社会に伝えきれず、世の中から認知されていないんです。

 星野リゾートのような魅力ある新たなブランドがどんどん社会で認知され、行きたいところや欲しいもの、体験したいことがいっぱい溢れることにより消費意欲が喚起されます。消費低迷が続く、日本の経済成長の一翼を担う重要な役割が、広報にはあるはずです。


一方、PR会社を取り巻く状況はどうなっているのでしょうか。
企業の「自分たちの商品を広げたい」「もっと事業の社会的な意義を理解してほしい」といった需要は大量にあるのに、実は供給側が対応できていません。

 その背景には、企業の大々的な宣伝プロジェクトなど、大規模・高予算の案件にPR機能の提供が限定されてしまい、本当に広報機能が必要とされる企業や、社会課題を解決するような世の中に知られるべきサービスへの支援が行き届いていない、という現状があります。

 つまり、一部の企業やプロジェクトへのPR支援に集中してしまい、“コミュニケーション支援”というより、“宣伝的な支援”に偏ってしまっている側面があるのです。

“KMCグループが目指す未来”

 これには、PR会社もリソースが限られた営利企業であり、現状のビジネスモデル的にそうならざるを得ないという事情があります。
また、広報がニッチな専門職で、経験豊富で優秀な人財を採用するのが難しい以上、企業側もPR会社を起用して戦略支援を受ける方が手っ取り早いという、構造的な側面もあり難しい問題であることは事実です。

ただ、私たちは国内の現状を改善したいと、本気で思っています。

“すべての会社、プロジェクトが、その規模に関わらず広報機能が持てる”

“世の中に知られるべき、本当に価値があるもの広がっていく”

 そのような社会を実現するためにも、KMCグループがそれぞれの機能を活かし、そして一丸となって、社会に対して役割を果たしていければいいな、と考えています。

Tags: KMCについて

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。