PR Standard ―広報の基礎知識―

どう違う?「プレスリリース」と「ニュースレター」の使い分け

2020-06-12 / by 伊東正樹

 企業が広報活動を行う際に、基本となる「プレスリリース」。一方、「ニュースレター」など似た言葉もあり「違いがよく分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、紛らわしい「プレスリリース」「ニュースレター」の違いやそれぞれのメリットをご紹介します。

プレスリリースとは?

 「プレスリリース」とは、企業や団体が自社に関する新しい情報、ニュースを記載した報道発表資料です。情報発信するための有効な手段として、多くの企業において活用されています。提供する情報は、新製品や新サービス、イベント開催、経営情報など自社に関することで多岐にわたります。


 プレスリリースは、メディア向けに新情報を載せた公式文書。つまり、企業とメディアとの重要なコミュニケーションツールであり、メディアにとっては記事にするにあたり内容を把握する基礎資料となります。どんな内容がどう書かれているかによって、メディアの中での企業イメージが大きく変化する可能性も有しています。そのため、正確性・客観性が大事な要素になりますが、詳しいポイントは、『記者視点で作成する!プレスリリースの基本的な書き方』を参考にしてみてください。

●プレスリリースを作成するメリットは?

 プレスリリースを発信することで、不特定多数の人に自社のニュースを直接届けることができます。メディア内における自社の理解促進だけでなく、そのプレスリリースの内容が取り上げられれば、自社や商品の認知度を一気に高められる可能性もあります。

 一方で、新情報であるからには、その内容は「初出し」情報である必要があります。また、メディアにとって価値のある情報でないと、記事にならない事もあります。注力の新商品・サービスだからといって、追加情報もなしに、何度も同じプレスリリースを出すことは、メディアを混乱させてしまうため避けましょう。1つのネタに対してリリースは1回まで、つまり“一発勝負”という意識を持って、準備に情報を整理して発信できるといいですね。

 とはいえ、「継続的に情報を届けたい」「シーズン商品・プロジェクトで集中的に情報発信したい」という状況もあるはず。そんな時に活躍するのが、「ニュースレター」です。

「ニュースレター」とは? 

 「ニュースレター」は、「プレスリリース」とは異なり、新規情報がない場合でも配信できます。例えば、過去に発信した商品に関する開発秘話や豆知識、季節・業界動向といった周辺・補足情報など、ニュース性が乏しい内容でも問題ありません。ニュースレターの内容に決まりやルールはなく、多様な形式・内容で作成することができます。


 「”ニュース性・初出し”要素がないと、一切報道されないか?」というと、そうではありません。メディアは新情報だけでなく、トレンドや時事ネタも多く取り扱うためです。そのため、季節や時流のネタに自社製品やサービスを絡めてまとめたものであれば、メディアにとってトレンドを知るために役立つ情報となり、取材・掲載を獲得できる可能性は十分にあり得ます。「メディアが記事や特集を考えるときに役立ちそうなネタ」を意識して作成すると良いでしょう。

●ニュースレターのメリットは?

 ニューレターは前述の通り、時事性に絡めた情報を発信することで、メディアに紹介してもらえる可能性があることです。そして、それは配信直後の短期的な効果だけではありません。企業の取り組みや実績、業界に関する動向や、商品の周辺情報を定期的に発信することで、「このネタの最新情報ならこの企業がもっているはず」と印象を持ってもらえるため、媒体側で特集や企画が立った時に、取材に繋がることもあり得ます。

事前に情報収集・整理を行い、うまく使い分けましょう


 内容が自由だからこそ、そして、メディアに読んでもらえる付加価値のあるニュースレターを作成するためにも、業界動向や自社の強み、競合商品、類似サービスとの違いやメリットを把握しておくことが大切です。

 まぎらわしい「プレスリリース」と「ニュースレター」。両者の違いを理解し、発信したい情報に沿って使い分けることで、メディアへの効果的なアプローチ手段となり、取材・掲載獲得によって話題化を期待することができます。ぜひ今後活用してみてはいかがでしょうか?

Tags: PRの基本

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。