PR Standard ―広報の基礎知識―

メディアリストは秘伝のタレ

2019-07-19 / by 安藤 英祐

プレスリリースを書き終えたら、いよいよマスコミに宛てて配信しましょう。報道資料はメディアの記者や編集部に届いてはじめて意味を持ちます。しかし、はじめてPR活動をする企業にとっては、どこの誰に向けて配信すればよいか? 迷われることと思います。


手始めに「PR TIMES」などのリリース配信サービスを使うのも良いでしょう。ほか類似サービスとして「PR Wire」「アットプレス」「バリュープレス」「ネタもと」等が存在します。およそ3~10万円ほどの料金で、300~1000くらいの編集部に一斉配信できるものです。とくにPR TIMESはWEB上にもログが残り、エンドユーザーが直接リリースを読むこともできますし、バズったり検索でヒットしたりするのでおすすめです。KMCもPR戦略の中で、ときどき利用しています。


KMCのようなPR会社に業務委託した場合に、PR TIMES等と大きく異なるのは、独自のメディアリストを用いた綿密な交渉を行う点です。PR会社は記者の携帯番号まで記録された独自リストを保有しており、それを日々更新しています。個人情報保護の観点からも門外不出、開業からずっと継ぎ足しながら使われてきた、いわば"秘伝のタレ"なのです。これを使ってリリース配信し、とくにマッチすると考えられるメディアについては、記者のスマホに電話をかけたり、アポイントを取るなど、個別に直接交渉を行います。リストの精度によってメディア露出の成果に差が付き、さらに個別交渉(プロモート活動)によって差が開くというわけです。

社内で広報部を育てる場合、メディアリストの蓄積は重要ですが、マスコミ業界は異動や転職が多いためリストがすぐ陳腐化する恐れもあり、幅広い案件でしょっちゅう記者と連絡を取り合うPR会社のほうが絶対的に強い点でもあります。またプロモート活動自体がどうしてもアナログで属人的な仕事になりますので、テレビやビジネス系メディアへのリーチは、やはり圧倒的にPR会社のほうが、リリース配信サービスよりも強いと言えます。

前の記事を読む← / →次の記事を読む

Tags: PRの基本

安藤 英祐

Written by 安藤 英祐

「PR」「広告」「WEBメディア」3領域でのビジネスキャリア保有。とくにデジタル領域の施策について知見あり。