PR Standard ―広報の基礎知識―

「記者視点で作成する!プレスリリースの基本的な書き方」

2020-05-29 / by 伊東正樹

 

 新商品や新サービス、イベント等の開始が決まり「世の中の多くの人に告知したい、報道関係者の人に知って欲しい」となった時に発信・活躍する、プレスリリース。いざ作成しようとすると、どのような構成にすればいいか、悩む方も多いのではないでしょうか?

 

 プレスリリースは、記者にとってニュース・原稿を作るための素材。記者は、一般消費者が関心を持ちそうな素材を見つけて記事化するため、記者の視点に立って作ることが大切です。

 それでは、どのようなプレスリリースが注目され、記事にしたいと思われるのでしょうか?今回は、プレスリリースの基本的な構成・書き方をご紹介していきます。

  

プレスリリースの第一印象はタイトルで決まる!

 

 新情報を沢山いれたプレスリリース、実は、メディアの編集部や記者には、様々な企業・団体から毎日数百件ものプレスリリースが届いてます。そのため、全てのプレスリリースをしっかり読むことはなかなか難しいもの。

 しかし、だからこそ、すぐ読むことができ、どんな内容のプレスリリースかの判断材料となるタイトルが重要になります。そのため記者に何を伝えたいか、ポイントや結論など、最低限必要な情報を提供できるように、タイトルをつけてあげましょう。

 

  1. タイトル

ポイントをいくつかまとめましたのでご紹介します。

 

  • 最も重要なポイントをまとめ、ムダを極力省く

 

 タイトルにあれもこれもと情報を足してしまうと何が重要な情報なのか分からなくなってしまいます。絶対入れたい情報をピックアップしてまとめてあげましょう。字数は30文字以内にまとめると過不足なく読めるタイトルになります。数字を入れて具体性を出す事も大切です。

  

  • インパクトのある言葉、キーワードでニュース性を出す

 

 簡潔性が求められるタイトルですが、記者に向けて印象を残すことも重要になってきます。印象に残りやすい言葉として、「全国初・業界初」など“新規性”を打ち出すものは分かりやすかと思います。それ以外にも、「唯一」「○○万人突破」、などの“話題性”や“独自性・希少性”を意識した言葉選びや、「梅雨」や「猛暑」などの“季節性”などで、トレンド感のあるタイトルをつけることができるようになるはずです。

 

  • 誇張・広告表現には注意。事実ベースで

 

 とはいえ、タイトルで印象付けしようとしすぎて事実と異なる言葉を使う、誇張しすぎた表現をしてしまうと、広告のような印象として受け取られてしまうだけではなく、企業の信頼までもが失われてしまう可能性があります。

 ジャーナリズムの精神に基づいて、客観的・公正的に報道しようとするメディアに対しては、きちんと事実に基づいた発信をしていきましょう。そのため、公益に関わるような“社会性“出すこともタイトル作りのポイントなります。

タイトルが決まった後は、「リード文」→「本文」という構成になります。

 

5W2Hで具体的に!

 

 

  1. リード文

 リード文とは、プレスリリース全体を要約した文章です。タイトルで興味を持った記者が次に読む部分は、このリード文です。1文から3文程度でプレスリリース全体を理解できるような文章を作りましょう。タイトルとリード文で記者が簡単な記事を書けるような感覚で作ってみることをおすすめします。

 リード文を書くのが難しい場合は、5WWho,What,When,Why,Where)と2H(HowHou much)を意識して書いてみることをおすすめします。

 Who:誰が

 What:何を

 When:いつ

 Why:どうして

 Where:どこで

 How:どのように

 How much:どのくらい

 

 例)株式会社○○は、○○年○月○日より、〇〇向けに〇〇ができるサービス○○を開始します。このサービスは、従来の課題であった■■の解決に向けて開発され、今後■■が■■することが可能になります。

 このように5W2Hを意識することによって、背景や経緯を分かりやすく簡潔にまとめることができるのでぜひ試してみてください。

 

本文

 本文では、上から順に重要な情報を書いていきましょう。1つの段落で1つのまとまった情報で完結するようにすると、読みやすく記者が拾い読みできるようになるのでおすすめです。データや画像を適宜挟んであげると視覚的な情報として記者に分かりやすく伝わり、インパクトを残すことができます。

 また、概要情報のみを伝えるだけでなく、背景情報も重要な要素です。記者は、どうしてこの会社がこのサービスを始めたのか、どのような社会的な背景で生まれたものなのか、なども知りたがっています。

 そのため、商品やサービスに込めた想いやストーリーを、しっかりと伝えてあげることにより、記者のさらなる興味を引けるはずです。本文の最後には補足説明や、細かいデータを示すことで、より丁寧で具体的な内容になるはずです。

 

連絡先の記載で、スムーズな問い合わせに繋げよう

 

  1. 問い合わせ先などの情報 

 会社概要や、問い合わせ先を必ず明記しましょう。記者がプレスリリースに興味を持って質問や、取材打診をする際に必須な情報です。

 問い合わせ先には、会社名・部署名・担当者名・電話番号・メールアドレスを記載し、その問い合わせ先はいつでも対応ができるようにしておきましょう。

 せっかく記者が興味を持って問い合わせをしても繋がらないと、記事掲載のチャンスがなくなってしまう可能性もありますのでお気を付けください。記者以外の一般の方からの問い合わせ先がある場合は別に分けて記載しておきましょう。

 

  とはいえ、「これから初めてプレスリリースを作成する」という方は、構成のポイントだけを見て、いきなり書くのは少し困難だと思います。その場合、同じ業界他社のプレスリリースを分析してみてはいかがでしょうか。

  メディアに多く掲載されたプレスリリースを見てみることによって、どういった情報が取り上げられているのか、記者がどういった情報を求めているのか見えてくるようになってくるはずです。

 基本的なプレスリリースの書き方や流れをつかんでしまえば、次第に自社オリジナルのプレスリリースを作れるようになるはずです。まずは基本を押さえてステップアップを目指していきましょう。

Tags: PRの基本

伊東正樹

Written by 伊東正樹

PR戦略局マネージャー。神奈川県出身。早稲田大学にて開発経済学を専攻し、商社、ライター経験を経て、現職にてコンサルティング業務に従事。 「金融、IT・通信、ヘルスケア、不動産、外食、美容・ファッション、自治体・ふるさと納税」など様々な業種のPRに携わり、現在は企業のSDGs・CSR案件やNPOなどソーシャル分野を担当。戦略策定や報道分析、記者発表会等のイベント企画・運営、報道資料作成、SNS・WEB広告の運用・分析、アンケート調査設計など一連の業務に携わる。