PR Standard ―広報の基礎知識―

プレスリリースの書き方!おさえておきたいポイントと企業の事例を解説

2021-05-13 / by 安藤 英祐

プレスリリースの書き方は、広報担当者であればおさえておきたいところです。そこで本記事では、プレスリリースの書き方のポイントや注意点を企業の事例とともに解説していきます。プレスリリースの作成にぜひ役立ててください。

プレスリリースを書く前に知っておきたい4つのポイント

プレスリリースは自社の新情報を利害関係者へ配信するために作成する、メディア向けの公的な文書です。プレスリリースを作成する前に、おさえておきたいのが以下4つのポイントです。

1.正確さと分かりやすさを重視する
2.最重視されるポイントを明確化する
3.ターゲットに具体的なイメージを届けられるようにする
4.定期的に配信できるようにする

それぞれ解説していきます。

 

1.正確さと分かりやすさを重視する

プレスリリースは「広告」ではなく「PR」のひとつです。企業の新情報をメディア向けに公開する公の文書のため、広告のように企業側で内容をコントロールすることはできません。企業の利害のために好き勝手な内容は書かず、受け取った人への分かりやすさを重視した内容にするのが重要です。

プレスリリースは一度発表すると訂正や修正が難しく、内容によっては炎上の可能性もあります。正確な情報、かつ誤解を生まない表現や内容を心がけましょう。

 

2.最重視されるポイントを明確化する

テレビ、新聞、ネットの各メディアは、毎日多くのプレスリリースを受け取っています。プレスリリースとしてメディアに取り上げられるポイントは、新しいもの、珍しいものなど、他の企業よりもニュースとしての価値が高いものかどうかです。

自社のプレスリリースでは、ニュースとしての価値がもっとも高い箇所が明確にわかるように書きましょう。受け取ったメディア側へ効果的に、プレスリリースのニュースとしての価値をアピールできます。

 

3.ターゲットに具体的なイメージを届けられるようにする

万人をターゲットにした広告と異なり、プレスリリースは企業の利害関係者に向けて配信する情報です。まず情報を届けたいターゲットを設定しましょう。ターゲットがプレスリリースを読んだだけで内容をイメージできるように、具体的な表現に留意します。正確な数値やデータを取り入れ、専門的な表現は避けてわかりやすい内容に仕上げましょう。

 

4.定期的に配信できるようにする

プレスリリースをメディアに送っても、必ず取り上げられるわけではありません。利害関係者への情報共有だけでなく、メディアに自社を認知してもらうために定期的に配信するのが重要です。

1回配信しただけで終わり、ではなく次回も配信が継続しやすい工夫をしておきましょう。テンプレートを作っておく、送り先のメディアを選定しておくなどが定期的なプレスリリースの配信に有効です。

プレスリリースを書く前の3つの事前準備

プレスリリースを書く前に、以下3つの準備をしておきましょう。
1.プレスリリースを配信する目的や内容を整理する
2.適切なタイミングで配信する
3.プレスリリースを送るメディアに合わせた書き方をする

それぞれの内容を解説します。

 

1.プレスリリースを配信する目的や内容を整理する

プレスリリースを作成する目的は、ニュースリリースも含めた利害関係者への情報共有、自社の新情報を広めることの二つです。目的によって、プレスリリースの書き方が異なってきます。

情報共有がプレスリリース配信の目的なら、情報の正確性などを重視した固い内容、保守的な内容になります。一方、自社の新情報を広めるのが目的なら、メディアにニュースバリューの高いものとしてとらえられる、攻めの内容になります。

いずれの目的でも内容を整理してメッセージをシンプルにしておく必要があります。基本はプレスリリースひとつにつき、ひとつのテーマです。A4サイズ2~3枚にまとまるボリュームに調整しましょう。

 

2.適切なタイミングで配信する

イベント開催や新商品、新サービスの発売など、時期が決定しているニュースを配信したい場合、メディアへ送るタイミングにも気を付けましょう。

メディアが取り上げる場合、取材が入ることがあります。直前のタイミングだと取材をすることができないため、メディアに取り上げらない可能性が高くなります。例えば、1週間後に発売、イベント開催などのニュースは取り上げられる可能性が低いです。 

プレスリリースの内容からタイムリミットを考慮し、適切なタイミングでメディアに送りましょう。

 

3.プレスリリースを送るメディアに合わせた書き方をする

プレスリリースを送るメディアによっていろいろな特徴や傾向があります。まずプレスリリースを送りたいメディアを選定し、媒体研究をしましょう。媒体研究を踏まえてプレスリリースを作成すると、取り上げられる可能性が高まります。おもなメディアと特徴は以下の通りです。

 

・テレビ

テレビはインパクトのある映像を求めています。プレスリリースには撮影可能な映像やイメージできる写真をたくさん取り入れましょう。写真が多いと番組のディレクターが企画や撮影ポイントを決めやすくなり、取り上げられる可能性が高くなります。

万人が視聴できるメディアであるため、誰が読んでも理解できる、わかりやすい言葉で構成するのもポイントです。視聴者の興味をひくことがイメージできるように、タイトルで内容が分かるようにする、斬新さのある言葉を入れるのも有効です。例えば、イベント開催に関するプレスリリースなら「〇〇初(業界初、日本初など)」といった言葉を入れる、などです。

最後に、プレスリリース本文とは別に取材を意識した案内状を添えておくと、より取り上げられる可能性が高くなります。例えば、参加人数やコンセントの有無など、テレビクルーが気にするであろう内容を伝えておくと効果的です。

・新聞(通信社)
新聞は企業によって特徴が異なることがあります。例えば、読売新聞や朝日新聞は社会性の高い情報や大衆向けの普遍的なネタ、産経新聞は大衆向けと経済向けのちょうど中間などです。プレスリリースの内容も、取り上げる新聞社の特徴に合うように仕上げましょう。

さらに、新聞記者によって担当する部署(報道部、経済部、医療健康部など)が異なります。自社の事業やプレスリリースの内容に合った適当な媒体、部署の記者を探してアプローチしましょう。

・雑誌
雑誌の掲載内容は、企画を先に決め、企画にあった取材をするという方式で作られています。企画は2~3ヶ月先のこともあるため、まずは読者層と記事のジャンルがプレスリリースに合致したところを見つけ、編集者と良好な関係を築いていきましょう。先々の企画内容などを共有してもらえると、プレスリリースのタイミングを検討する判断材料のひとつになります。雑誌の企画として取り上げられることが決定すれば、その雑誌のテイストに合わせて書く必要があります。

・ウェブ
ウェブの場合は企画に合わせるのではなく、話題性の高い、または斬新なプレスリリースが取り上げられる傾向にあります。例えば、新商品やイベントなどです。また、ウェブの製作会社は運営体制が少数の場合も多くなっています。取材なしでも記事にしやすいプレスリリースを送るのが有効です。例えば、プレスリリース本文とともに掲載用の画像なども一緒に添付しておけば、ウェブで取り上げられる可能性も高くなります。

メディアに取り上げられる確率が高くなるプレスリリースの書き方

プレスリリースは以下5つの構成で作成します。
1.タイトル
2.リード文
3.本文
4.画像
5.連絡先

こちらも順に解説していきます。

 

1.タイトル

タイトルがないプレスリリースは、まず記者に読まれません。メディア関係者は、毎日多くのプレスリリースを目にします。取り上げるプレスリリースを選定するために、まずタイトルを読み、目に留まったら本文を読んでいくので必ずタイトルを入れましょう。

タイトルの付け方のポイントは以下の通りです。
・文字数は30文字以内
・キーワードを最大3つ入れる
・本文の内容を正確に要約する
・インパクトのある言葉選びをする
・形容詞は使わず、具体的な表現をする
・!や?は使わない

目を惹くタイトルをつけるのは重要ですが、内容を誇張するのは厳禁です。あくまで正確でわかりやすい、かつ話題性のあるタイトルを心がけましょう。

2.リード文

リード文とは、プレスリリース全体を要約したものです。本文の前にリード文を書きます。

リード文の書き方のポイントは以下の通りです。
・情報に漏れや重複がないようにする
・5W2H(Who:誰が(自社)What:何を(取り組み内容)Where:どこで(実施場所)When:いつ(開始日や実施期間)Why:どうして(背景や目的)How:どのように(特徴など)How much:どのくらい(金額))を押さえる
・1〜3文、250~300文字にまとめる

これからプレスリリースを読む人が内容をスムーズに理解できるようにしましょう。

 

3.本文

本文はプレスリリースの8割以上を占める箇所です。本文の書き方のポイントは以下になります。

・読みやすい情報量にする
・オリジナリティを入れつつも分かりやすい内容にする
・社会性を取り入れる
・読みやすさを重視する

プレスリリースの本文は、出したいものをすべて詰め込むのではなく、読みやすさを重視した情報量に整理して書きましょう。

プレスリリースにオリジナリティを取り入れるのは重要ですが、オリジナリティを重視しすぎてわかりにくい、脈略のない内容は厳禁です。

また、プレスリリースの内容に社会性を取り入れる(業界や社会でこんなことが取り上げられている)のを踏まえ、社会の関心と自社の新情報を結び付けた内容にしましょう。メディアに取り上げられるようにするには、すでにメディアに取り上げられている他社のプレスリリースを見て研究するのも有効です。

専門用語を入れるときには注釈を入れる、データや数値を使って正確性を出す、箇条書きを使うなど、随所に読みやすい工夫を入れていきましょう。プレスリリースのテンプレートを使うのもおすすめです。適切な情報量に整理しつつ、読みやすく分かりやすいプレスリリース作成に役立ちます。

4.画像

プレスリリースには最低1枚の画像を入れましょう。文章よりも視覚的に多くの情報を正確に伝えられます。

画像はプレスリリースがメディアに取り上げられた際、アイキャッチとして使用される場合もあります。プレスリリースの内容が理解できる画像にすれば、よりメディアに取り上げられる可能性が高くなります。

例えば、新商品のプレスリリースなら、ユーザーの写真はターゲット層の写真にすると「どんな商品なのか」が伝えわりやすくなります。逆にブランドロゴや企業のホームページなどの画像はインパクトが弱いです。

また、アイキャッチとして採用されることを踏まえて、メディアが使いやすい画像の内容やサイズにするのも重要です。

 

5.連絡先

興味を持ったメディアがいつでも問い合わせできるよう、企業情報、問い合わせ先(社名、住所、電話番号、メールアドレス、担当者名)を必ず記載しましょう。

プレスリリース完成後にチェックしたいポイント

プレスリリースが完成したら、メディアに送る前に以下3つのポイントをチェックしましょう。

1.内容に漏れがないか
2.誤字脱字がないか
3.情報は具体的で正確か

順に解説していきます。

 

1.内容に漏れがないか

プレスリリースに入れるべき内容が入っているかをチェックします。また、入れるべき内容が明確になっているか、全体的な分量とのバランスはどうかも合わせて確認しましょう。

 

2.誤字脱字がないか

誤字脱字があると、利害関係者への不信感や情報を読んだ人への誤解を与えてしまう可能性があります。基本的なことだからこそ、誤字や脱字がないかをしっかりチェックしましょう。誤字脱字のチェックツールを利用するのもおすすめです。

 

3.情報は具体的で正確か

プレスリリースは一読しただけでわかりやすく、具体性のあるものでなければいけません。プレスリリースの本文で使用したデータや数値、開催場所などは正確かどうかも再度確認しましょう。一度配信されてしまうと修正するのは難しくなりますが、配信する前なら修正は可能です。

企業のプレスリリース事例3選

はじめてプレスリリースを作成する際には、他社のプレスリリースを参考にするのも有効です。企業のプレスリリース事例を3つ紹介します。

 

1.「江崎グリコ」の話題性と斬新さを取り入れた新商品紹介事例

江崎グリコの商品である「プッチンプリン」の期間限定商品紹介のプレスリリースです。コロナ禍による自宅時間の増加により、家で手軽においしくスイーツが楽しめる社会性、新商品の「期間限定」の珍しさと話題性、「凍らせて食べる」斬新な新しい食べ方の提案が、プレスリリース要所に盛り込まれています。

画像と図を使用することで、新商品の情報も一見しただけで把握できます。

ダブルミルクでまろやかなコクを実現、期間限定プッチンプリン「Bigプッチンプリン たっぷりミルクのミルクコーヒー」2021年5月10日(月)新発売!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000225.000001124.html

 

2.「一般社団法人太陽光発電事業者連盟」の分かりやすい守りの姿勢の事例

一般社団法人太陽光発電事業者連盟(ASPEn)の、再生可能エネルギー電源の導入量+10%に向けた提言書公表のプレスリリースです。日本政府による2030年に向けた気候変動対策目標の引き上げ表明を受けた提言書公表で、利害関係者への情報共有を目的とした保守的な内容になっています。

正確な情報を伝えるのを重視したプレスリリースの場合、一見すると文章ばかりになりがちです。こちらのプレスリリースは、内容を理解しやすい見出し、太陽光発電の画像、箇条書きを取り入れ見やすく整理されています。さらに、SDGsが注目されているタイミングにプレスリリース配信を合わせています。

再生可能エネルギー電源導入量+10%を目指して ~ 2030年に向けた再生可能エネルギー導入拡大のための提言書を公表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000078784.html

 

3.「永谷園」の画像多めで目を惹くキャンペーン情報

お茶漬けの日にちなんだ、SNSで投稿して参加できるキャンペーン告知のプレスリリースです。本文の見出しひとつひとつが短く正確な情報のみ、さらに画像を取り入れています。

キャンペーンの詳細が分かるバナーもプレスリリース内部の自然な位置に挿入されているため、読者を自サイトへ誘導することもできます。また、読者も目を通してすぐに参加や応募ができるメリットもあります。

5月17日は「お茶漬けの日」!永谷園公式Instagram/Twitterでは「お茶漬けの日大賞キャンペーン」を実施中!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000223.000020257.html

プレスリリースの書き方は配信目的や内容、メディアの媒体に合わせよう

プレスリリースは目をひくタイトル、わかりやすく正確、具体的な内容で書き上げる必要があります。必ずしもメディアに取り上げられるものではないものの、オリジナリティや話題性を重視しすぎて、内容を誇張したり誤解を与えたりするものであってはいけません。自社の情報を広く伝えることや、メディアに取り上げられることのみを目的にするのではなく、利害関係者への情報共有というプレスリリース本来の目的を踏まえたものを作成しましょう。

 

Tags: PRの基本

安藤 英祐

Written by 安藤 英祐

「PR」「広告」「WEBメディア」3領域でのビジネスキャリア保有。とくにデジタル領域の施策について知見あり。