年々発行部数は減少傾向にありますが、新聞文化が根強い日本において、新聞は一番「信頼性」が高いメディアとも言えます。WEB版や様々なキュレーションメディアで新聞記事を読む機会は増えており、紙面ではなくとも、新聞記事の重要性は高まっており目にする機会は増えています。
■スクープを狙う、新聞記者
そんな新聞記事をつくっているのはもちろん新聞社であり、様々な部署・部門に分かれていますが、「新聞記者」が取材して記事を作成しています。自社のスタンスや自身の担当業界に合わせて、日々新鮮なネタを追いかけ「スクープ」を狙い、「社会的に影響力が大きいニュース」を取材します。
自社のスタンスとは、経済紙であれば株価や上場などの金融の情報を厚く取り上げます。自身の担当業界とは、記者も例えば生活情報、さらに細かく食品担当など、自分の担当する業界に分かれており、その業界に属する企業を中心にそれぞれの記者が取材します。
そんな新聞記者が考えていることは、やはり「読者」「スクープ」です。新聞の売上というよりも、いかに読者に自身の記事で取材対象の情報を届けるか、ということになります。広報担当として、新聞記者に相談をする場合は、まずは、新聞は現在でも全国的に影響力が大きく信頼性も高い。記者は「スクープ」を狙い、「社会的に影響力が高いニュース」を求めること、また、新聞社によってスタンス、記者によって業界が異なることを理解した上で、信頼関係を構築していくべきでしょう。
■テレビは後追いのメディア
いち早く情報を届けることが必要な新聞とは異なり、テレビはいわゆる「後追いのメディア」であり、「現象」を取材します。朝の番組で新聞記事をMCが読んで批評したり、SNSで100万いいね!されたスイーツを紹介したりするように、すでに他メディアで取り上げられたものから、「視聴者」の関心が高いものを選び「画」にするわけです。
新聞とは違い、スクープを狙うわけではなく、「視聴率」を狙います。他のメディアで起点となった情報を精査し、実際に取材するかを判断するため、生中継などを除けば速報性の面ではWEB・新聞には劣りますが、映像で伝えられる点やテレビ自体の影響力はいまだに絶大です。
そのため、テレビマンやテレビ記者ほど他の番組やメディアを見ていますし、テレビ以外のメディア露出を増やすことが、テレビ露出への近道にもなり得ます。
■テレビで取材されるには?
情報・報道・バラエティ、ドキュメンタリーなど様々な番組がありますが、共通して必要なのは、取材対象/なぜ今取材するべきなのか/ファクトが大事になります。
まず、「取材対象」ですが、テレビは映像で届けるメディアのため、どの人が取材できて、どの場所で何が撮影できるかは重要です。企業の代表が取材できるのか、スポットであればどの場所で撮影できるのかで大きく変わってきます。当日、どこで誰を撮影できて、どんな放送にすることができるのかまで、整理して伝えることができると良いでしょう。
「なぜ今取材するべきなのか」については、ここは広報担当の腕の見せどころになります。前述のように、「100万いいね!がついた夏スイーツがあり、これをグルメコーナーで…」と話すことができれば非常に楽ですが、そうはいかないことがほとんどです。必要なことは他メディアや時事性を調べ、「今記事でこうあるように、この点が問題になっていて、その解決や専門的な知識を話すことができます」というように、話せば興味を持ってもらえるかもしれません。
より具体的に話すと、2020年7月より遺言状の保管が法務省の預かりになります。これに加え、大手IT会社も参入し、PCでの作成もできるといったように大きく「遺言状」について変わる見込みがあります。ニッチな分野ですが、これを自分事に置き換え、自社だったら「遺言状のサービスがあるから、今回のトピックに対してどう対応するか、が取材できる」「サービスはなくとも終活関連を事業があるからこれについて正しい知識を話すことができる」など、社会の動向に対して、自社が何をできるかを考えることが大切です。
ファクトについては、間違った情報を伝えてはいけないため、売り込む内容が事実であるのかが重要です。「他のWEBや新聞でもこうした記事があり、しかも○人に一人がこう感じている調査がある…」というように、取り上げてほしい内容に対して、さまざまな正しい情報が必要です。ここがそろっていればテレビ担当者が言うことが多い「社会現象になっていれば、もう少し検討できるんですが…」という反応をクリアできるはずです。
ぜひ一度、「社会の動向に合わせて、自社が何を発信できるのか」をイメージしてみてはいかがでしょうか?