報道後の影響力が強いテレビ。自社商品をニュースで取り上げて欲しいと考える企業や担当者は多いと思いますが、どんなにいいモノでも情報を提供する先が間違っていれば、その思いは届きません。今回は、テレビ局に日々出入りして番組スタッフと情報交換をしている、KMCのテレビPR担当者・細井が、ニュース番組の組織について解説します。
“報道局の中はどうなっている?
まずテレビ番組は、主に「報道、バラエティー、情報」の3つのジャンルに大別されます。
夕方や夜を中心に放送されているニュース番組を作る部署が「報道局」になります。
(報道番組と情報番組の違いはコチラをご参照ください。)
報道局は、各番組へのニュースの配信を中心に、速報・海外中継、お天気中継などの役割も担います。新聞のように担当する部署が分かれ、企業や経済・社会現象を扱う「経済部」、国会・政治ネタを取材する「政治部」、事件・事故・災害などの情報を扱う「社会部」、海外ニュース・取材を担当する「外信部/国際部」で主に構成されます。
「社会部」は、教育系・医療系の内容も扱う他、局によっては、オリパラに関する取材を管轄していることもあります。また、局によってエンタメ系を担当する「生活文化部/生活情報部」など、その他多岐にわたります。
企業の広報PRの鍵になるのは、経済部の担当者
各部署の中でもさらに担当が分かれていきますが、企業の広報PRが主に関係するのは、経済部内の「民間企業担当」です。さらに、経済部の民間企業担当の中でも、業界によって記者が分かれています。
例えば、飲食チェーンの取材には外食担当が、SNSやアプリ関連の記者発表会にはIT担当が、というように担当記者が取材に行きます。「金融担当」が銀行を取材したり、「電気担当」が家電メーカーが取材するのは分かりやすいですが、一見分かりづらいものもあります。例えば、旅行会社は「国交省担当」、飲料メーカーなどの食品は「農水担当」が取材したり、食材を主に扱うスーパーマーケットは「流通担当」が取材したりします。
担当記者と一概に言っても、記者自身がいる場所は、テレビ局や分室、記者クラブなどに分かれるだけでなく、各記者を束ねる「デスク」という役割や、局によっては記者のフォローに入る「企画班」という担当もいるので、とても複雑です。
シュークリームはNG、おせちはOK?その理由とは
さらに複雑なことに、同じ食品でも取材の可否や担当が分かれます。
例えば、あるコンビニエンスストアが注力スイーツである「シュークリーム」を新発売するとします。このネタを経済部で取材されるでしょうか?おそらく、難しい可能性が高いです。なぜなら、消費者や業界の流通など社会全体へのインパクトが少ないからです。勿論、タピオカドリンクのように社会現象になるほどのブームになっている場合はありえるでしょう。
一方で、コンビニエンスストアが同じ食品である「おせち」を発表しらどうなるでしょうか?この場合は、経済部が取材に動く可能性があります。さらに「農水/外食担当」ではなく、「流通担当」が取材します。その理由は、「おせち」という季節性と年間の中でのトレンドがあり、消費者や流通への影響力が大きいためです。
勿論、何の変哲もないおせち商品では、テレビ取材獲得のハードルは高いのですが、実際の事例として、100円のおせちをPRした時には、累計販売数などの実績や需要が増えている社会的背景、製造の裏側などの情報と合わせて、流通担当に情報提供したことで、全キー局の経済部が取材に来たことがあります。
提供するネタのジャンルを把握して、適切な担当に届ける
このように、テレビ局に紹介したいネタ・情報がある時は、どの経済部担当に話すべきか事前に見極めることが大切です。特に忙しい経済部に在籍する民間企業担当は、5人~10人ほど。少ない人数で幅広い業界をカバーしており、スケジュールによっては、全く違う業界の担当者が取材に来ることもよくあります。
早めに自社の発信情報の見極めてから、取材依頼を進めていくことがポイントです。次回は、取材の依頼・アプローチのポイントについて解説します。